オーウェン

イングロリアス・バスターズのオーウェンのレビュー・感想・評価

4.3
ビンゴ!と叫びたくなるような喝采の出来。
タランティーノでしか作ることの出来ない映画。
始まりはセルジオ・レオーネ風のウェスタンを思わせながらも、そこからナチものにすり替わりさらには戦争アクションへとなだれ込んでいく。

ジャンルに収まらない=枠がないものとしてやりたい放題の内容。

いつものように無駄に長い会話。スタイリッシュな銃撃シーン。
個性的なキャラに、残酷描写。すべてがタランティーノ印に収まる出来。

話の筋はナチのランダ大佐に家族を殺されたショシャナの復讐劇。
そしてナチ殲滅のため組織された特殊部隊バスターズ。
この二つの行動が徐々に重なっていきラストへと繋がる。

歴史の史実などタランティーノにはどうでもいいらしく(笑)ラストには唖然とさせる結末が待っている。
しかし妙にカタルシスがあり、感動的だ。

ブラッド・ピットはオーバーアクトギリギリの線で楽しませ、メラニー・ロランもその視線の強さが印象に残る。
バスターズの個性的な面々も特徴を上手く出している。

ただ映画を観て一番印象に残るのは間違いなくランダ大佐のクリストフ・ヴァルツだろう。
硬軟自由自在とはこのこと。コミカルに思えると、途端に爆発する気性。
自然と緊張感を増幅させる。会話の応酬でもこの男には安心することができない。

注意すべきなのはタランティーノ作品の初心者お断りということ。
これだけ観たら何が面白いと思うだろう。
今までのタランティーノ作品を見ていれば「これが俺の最高傑作だ」となるだろう。
オーウェン

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