タケオ

イングロリアス・バスターズのタケオのレビュー・感想・評価

4.4
〜 ”戦争”をテーマに扱った作品は史実に忠実に在るべきでる 〜

いたって普通の事だ。
その方が鑑賞者に戦争の悲惨さや残酷さを伝えることができるのだから。

ましてや本作で扱うのはナチスとユダヤという重いテーマだ。

鑑賞者はナチスの蛮行に怒りを覚え、迫害されていくユダヤ人の姿への無力感から反戦の意識を高めていく。

99%の作品のアプローチは当然そのような形をとるだろう。
だってそれが史実なのだから•••。

しかし、1%それとは全く違うアプローチで描いてしまう曲者作品が存在する。

それが”イングロリアス•バスターズ”だ‼︎

ユダヤ系アメリカ人を中心とした特殊部隊イングロリアス•バスターズと、かつて”.ユダヤハンター”の異名を持つハンス• ランダ大佐に家族を殺されたユダヤ人一家の娘ショシャナのナチスへの復讐を描く本作。

ナチスがユダヤを迫害する••••のではなく、ユダヤがナチスをしばき倒す斬新すぎる作品だ‼︎

本作を楽しむアプローチは3つある。

①特殊部隊イングロリアス•バスターズのナチスへのぶっ飛びすぎな殺戮作戦を腹を抱えながら楽しむ。

②家族を殺されたショシャナの復讐劇をハラハラしながら追う。

③他キャストを食いまくるクリストフ•ヴァルツの怪演に圧倒される。

私が推奨するアプローチは③だ。

貫禄や風格がある訳ではない。
温和で人当たりの良い紳士的な態度、豊富な知識と言語、人を煙に巻く話術、いざとなればナチスも躊躇なく裏切る黒さを武器に立ち回るイカれ野郎というあまりにも魅力的なハンス•ランダ大佐を演じたクリストフ•ヴァルツは、アカデミー賞助演男優賞を受賞‼︎

あまりの演技のうまさに笑いがこみ上げてきた‼︎

もちろん本作の魅力はクリストフ•ヴァルツだけではない‼︎

センスの良い選曲と、長々と尺をとる無駄話、そこから唐突にぶっ飛びバイオレンスへ流れ込むというタランティーノ節が本作でも炸裂‼︎

また、史実よりもノリを優先し歴史を改変しまくる怒涛のストーリー展開に度肝を抜かれた‼︎

”歴史を学びたきゃ教科書でも読んでいやがれ”と言わんばかりのアプローチには脱帽の一言‼︎

クライマックス、その発想はなかった‼︎

イングロリアス•バスターズ”名誉なき野郎ども”の血みどろ復讐劇‼︎

歪すぎる爽快感に体を支配されるハイテンションムービーだ‼︎
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