「怒り」
「怒り」という感情は映画…特にアクション映画においてその起爆剤として格好の材料である。
ブルース・リーは「怒り」の鉄拳!
それは「犬と中国人は入るべからず」と香港の公園に掲げた戦時中の日本軍に対するものだったが…それでもおれたち日本人まで熱狂した…
マックスは妻子を殺された怒りで警官から戦士へ変貌する。
アクション映画における「怒り」はおれたちにカタルシスを与えてくれる最良の感情なのだが、昨今…おれたちの現実に感じている「怒り」のなんと空しいことか…
なくならない「あおり運転」…
あの人たちは何であんなに怒ってるんだ?異常なまでの「怒り」…それを観たおれたちは「バカか?そのモザイク外して顔をさらせ!」…と怒る…空しい…
幼児虐待とそのSOSを知りながら命を救えない周囲の大人たちに怒る…
「バカか?この元凶の父親は死刑だろ?」と怒る…空しい…
ネット上に相変わらず上がる不適切動画…「お前らのくそ面白くもない動画で何億の損失かわかってんのか?賠償請求で青くなりな!」と怒る…空しい…
こんな世の中でタランティーノは正当な「怒り」を最良のエンターテイメントに転化させてくれる稀有な映画監督だと思います。
「ジャンゴ」では人種差別への怒りをマカロニ・ウエスタンへのリスペクトというかたちで観せてくれました…
「イングロリアス・バスターズ」
ナチスの鬼畜の所業にユダヤの「怒り」が炸裂します…しかもその復讐の方法が映画そのものという!
まるでタランティーノを象徴するかのような映画です。
当事者ではないタランティーノが黒人やユダヤ人に変わって彼らの無念を晴らす!
たとえ史実に逆らおうがお構い無く…映画界の真のヒーローだと思ってます。
ちょっと余談ですがこれは有名な話…
おれなんかパッと見ぜんぜん気付きませんが、タイトルの「イングロリアス」も「バスターズ」もスペルが間違っているんですね…
最初はこれはタランティーノの遊び心か何かのメッセージなのか?とずいぶん話題になったのですが…
真相はまじで勉強嫌いのタランティーノのミス…
半笑いの周囲に「怒り」のタランティーノは意地でも間違ったままで通したのです。
「間違ってようがおれがこのスペル!と言えばこうなるんだよ!」
高校中退…ビデオ・ショップのオタク店員を経て世界の映画監督にまで上り詰めたタランティーノ…
まじでおれたちボンクラ映画小僧のヒーローだなぁと思える素敵なエピソードだと思います!
受験生は注意!
…てかイングロリアスもバスターズも入試には出ないか…😸💦