安堵霊タラコフスキー

イングロリアス・バスターズの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

4.4
タランティーノ作品でも好きな部類に入る、クリストフ・ヴァルツの世界的出世作。

やはりこの作品で一番魅力的な存在といえばそのクリストフ・ヴァルツが演じるハンス・ランダなのだけど、初っ端から知的かつ圧倒的な存在感を放つ彼に屈服してしまい(表情が飄々としたものから徐にシリアスなものとなる瞬間は何度見ても良い)、彼の出ている場面では悉く痺れっぱなしだった。

そして彼以外にもブラット・ピット率いるバスターズの型破りさとかメラニー・ロランのタフさとかも光放っており、こういう独特なキャラを見ているとタランティーノ映画は良いなとつくづく思う。

音楽のチョイスも独特で、タランティーノの敬愛するモリコーネのスコアやマカロニウェスタンの音楽だけでなくデヴィッド・ボウイのcat peopleを効果的に用いていて好印象だった。

全体的に作りが戦争映画離れしていて特殊ということもあるが、この前年に作られたダークナイトがそうであるように、印象的な敵役がいる映画は心に残る良いものとなるケースが殆どで、その意味ではこの作品こそタランティーノの映画で最も印象に残りやすいものと言えるかもしれないし、そんな映画史に残るレベルの敵役を演じたクリストフ・ヴァルツの功績は甚だ大きいと思う。