saorino

イングロリアス・バスターズのsaorinoのレビュー・感想・評価

3.9
「もし、史上最悪と言われたナチスをやっつける過激派秘密組織がいたら」という、タラちゃんお得意のもしもムービー。最狂のブラピは見てて痛快。頭皮ってそういう使い方するんだっけ、、きっと今回もPG12、なんて序盤には思いながら、たまに画面のどこ見ても悲惨という光景に。

ナチスとか、ハリウッド女優が変なヒッピーの宗教団体に惨殺された事件とか、タランティーノはどうにもならなかった残虐な史実を「もしもこんな奴らがいたら、あんな悲惨な事件は起きなかったのにね」と伝えてるような気がしてならない。

アメリカとドイツの兵士たちを尊敬しつつ、ナチスを叩く映画には仕立てず、ちゃんとユーモアを織り交ぜていく。その手腕がすごかった。誰かを卑下することなしに、フィクションをベースにしたノンフィクションを絶妙な温度感で撮れる稀有な監督。特典映像で熱く語るタラちゃんの映画愛を聞いてると、ホントに人が良さそうだし、めちゃくちゃ心痛めてるんだろうなぁ。だからこそ、それを映画でエンタメとして昇華しようとしてる気がする。想像だけども。

酪農農家の昼下りに流れる「エリーゼのために」は、これまで聞いた「エリーゼのために」の中で一番美しかった。
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