人間の“善”の部分を除去する薬を発明してしまったジキル博士は好奇心に駆られ薬を服用し、“ハイド”という人格を手に入れるが…。
1人の男が「善」と「悪」を描き出す、怪奇映画。
1931年版の『ジキル博士とハイド氏』のリメイク作品である。
この時点ですでに同じ題材の映画が4作も作られてることに驚きである。
1941年版は、1931年版が非現実的すぎるのを意識してか、より現実的にしたような感じ。
動物実験なども見せている。
ただ、1931年版に比べて、特に感心するところもない普通の映画です。
前作に比べて何がダメかと言うと、ハイド氏がメイクをしても ジキル博士と大して変わっていないこと。
前作は猿だったのに、こちらはちょっと目つきが悪くなるだけで他はほとんど変化なし。
これには結構ガッカリさせられました。
西洋人が見ればジキルとハイドの違いが分かるのかなぁ?
東洋人が見たら同一人物にしか見えない気がする…。
まぁ余りの変わりようだと、あの「今、一瞬…」ってのが生きてこないとは思いますが。
また、1931年版を誰もが観ていることが前提なのか、これだけだとちょっとストーリーが分かりづらい。
セリフが少し欠けていたり、ハイド氏の野獣っぷりが余り出てない。
時間も1931年版に比べると15分ほど長くなっているのですが、これが話の展開をゆっくりにしただけで、さして新しいアイデアも加えられていなかったのです。
だが、スペンサー・トレイシーの演技自体は良く、婚約者役のラナ・ターナーはとても美しいです。
でもまぁ、なんだかんだで1920年版の『狂へる悪魔』が一番印象的だったかなぁ。