あいうえお

過去と現在 昔の恋、今の恋のあいうえおのレビュー・感想・評価

4.7
オリヴェイラによる平常運転。観客を含む全人間への挑発はいつものこと。花が効果的に用いられるのも他作品に似る。しかし本作は、おまけに宗教にまで牙を向けている。受難劇をパロディ化した様にしか見えない。偶像崇拝、隣人愛、復活、、、
オリヴェイラの作家性の一つの側面ともいえるこの挑発的態度は、おじいちゃんになってから撮った傑作『アブラハム渓谷』よりも強烈(しつこい?)に表現されている。
多くの映画作家が守っている規範のようなものをぶち壊した後に、観客が潜在的に望むものを誇示する、裸にコートのみを羽織った紳士のような作家による"いつもの"作品。
数年ぶりの『アブラハム渓谷』が楽しみ。