イチロヲ

ルージュのイチロヲのレビュー・感想・評価

ルージュ(1984年製作の映画)
3.5
元恋人(火野正平)の報復行為により、強姦の様子をビデオ撮影させられた女性(新藤恵美)が、被害者への突撃取材を企画している記者(北詰友樹)に癒やしを求める。底辺部に堕ちた男女の慰め合いを描いている、日活ロマンポルノ。株式会社ヴァンフィル製作。

石井隆脚本・原作なので、メインの男女が村木と名美になっている。名美の境遇に絆された記者が、ふたりの合間に入り込むのだが、村木と名美には「堕ちた者同士」の深い繋がりがあることに気づかされていく。

村木のゲス野郎ぶりに苛立ちを覚えながら鑑賞することになるが、「石井隆による村木と名美の物語だから、一筋縄では行かないはず」と思いながら鑑賞を続けると、やはりネタバレ厳禁の展開が終局で待ち構えている。

「緊張と弛緩の連続性がドラマに訴求力を持たせる」というのは、落語家・桂枝雀の弁だが、石井隆作品では「暴力とセックス」が、それに相当する役割を担っている。ネオンの灯りと全裸と雨。若かりし頃の那須監督の大仕事を堪能することができる。
イチロヲ

イチロヲ