ゴン吉

飢餓海峡のゴン吉のレビュー・感想・評価

飢餓海峡(1965年製作の映画)
4.0
水上勉の小説を原作とした三國連太郎主演のヒューマンドラマ。

戦後間もないころ、台風が津軽海峡を直撃。
青函連絡船層雲丸が沈没して多くの乗客が海に放り出される。
そんな折、北海道岩内で強盗放火事件が起きる。
3人の犯人は汽車で函館に向かうが、台風により途中で運行休止に。
強盗犯達は遭難事故で混乱している浜から小舟で下北半島への逃亡を図る。
下北半島の仏ヶ浦から上陸した犯人の一人は恐山を経由してトロッコで南下して大湊につく。
トロッコで知り合った女性が働く旅館花やで休息し、お礼として女性に大金を与える。
女性はその金で父親を養生させ、借金を返して東京に上京する。
数年後に男の写真を新聞で見つけた女が、彼にお礼を言うために舞鶴に行くが......  

人間の業を描いた作品。
悪人と善人は紙一重。
偶然に翻弄された人間の運命に加えて、作品にミステリー性をもたせるためなのか、犯人の人間像は深くは描かれていない。
犯人の心情を丁寧に描いた方が観る者には心に響いたと思う。
貧しい飢餓状態の中で希望を見出した時、果たして人は海峡を越えて前に進むことが出来るのか?

「それは日本のどこにでも見られる海峡である。その海峡にはわれわれは貧しい善意に満ちた人間のどろどろした金と憎しみの執念を見ることが出来る。」 

BS TVで鑑賞
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