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アウトレイジのpeachfizのレビュー・感想・評価

アウトレイジ(2010年製作の映画)
3.8
オープニングの人っこひとりいない道路を続いて走る車がみのむしのように同じスピードで前後の車にピッタリ合わせて走る。両脇に緑。この静謐な世界を連結して走る虫。ヤクザにも虫のような性質があると言えるだろうか。好き。水野のシーン。朝方の暗い青色のトーンから、翌朝の青空の中心に横になる人間の姿。あの、ロングスパンで見せて、何かひっくり返しを期待させておきながら、何も起きない。この辺はたけし映画の好きなところ。歯医者のシーン。口元だけを見せる、あえて目鼻を見せないことでの恐怖。顔が見えない恐怖というものがある。これはうまく伝わるか分からないけど、ヤクザのまるで子供が虫を解体するように人を殺す感覚、またはゴミを離れたところからゴミ箱にほって捨てるぐらいの感覚で殺す感覚、それが未知すぎて、しかもそれが自分と同じ人間の仕業であることが怖い。確かにエンタメ化したが、これはこれで良い。見るのは2回目。1回目はあるシーンが頭にこびりついて離れなくなりこれがトラウマかと思った。悪人なんだけど、うん、やっぱり全員虫なのだと思う。
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