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グラディエーターの都部のレビュー・感想・評価

グラディエーター(2000年製作の映画)
3.5
リドリー・スコット監督の代表作の一つである剣闘士映画。今見ても色褪せない迫力満点の合戦シークエンスから始まり、美術に拘り抜いたローマでの剣闘による復讐劇は単純明快だが、ウェルメイドな映像の造りが作品全体の出来を見事に跳ね上げていて実に圧巻だった。本作の見所はやはりコロッセオでの剣闘にある印象で、狂騒に掻き立てられた観客や人体破壊の映し方がよろしい殺戮描写、視点の移り変わりも澱みなく、さながらその場に居るような高揚感の掻き立て方が巧みだった。ハンス・ジマーの劇伴も良い仕事をしている。ラッセル・クロウとホアキン・フェニックスの演技合戦も楽しく、史実とは異なるもののローマ帝国を舞台とした偽りの皇帝と元皇帝の忠臣の剣闘士という構図はバチバチに決まっている。
とはいえ150分の映画としては脚本はやはり単調だと思う節もあり、前半の失墜までの完成度と比較すると後半はトントン拍子に話が展開されすぎている点も踏まえて、没入感に欠ける普遍的な物語に収まってしまった部分は否めないか。リドリー本人が述べたように本作は勧善懲悪のヒーロー映画であり、映画としてはそれ以上でもそれ以下でもないので個人的にはあまり乗り切れなかったと言える。
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