シマすけ

アングスト/不安のシマすけのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
3.9
(;;°益°)🔪<フーッ…フーッ… 👨‍👩‍👧


殺人罪で服役していた「K」が出所した。オナニー感覚で人を殺す狂人が解き放たれ、ある一家が彼の餌食となる。


完璧な計画(大嘘)

手に負えない精神異常者を野放しにしたら最悪の事態が起こったという話。
無関係な一家を3〜11時間に渡り拷問して殺したという、おぞましい実話がベースです。

映画ではKの異常性をまじまじと見せつけられます。

被害者ではなく犯人視点で物語がすすみ、Kの独白が挟まれるという構成。
「みんなは俺の言いたい事分かってくれるよな?」と言いたげに、
「俺は生まれつき異常で、家族はそんな俺を毛嫌いした」
「単純に人を殺したくてウズウズしてるんだ」
と語るK。
しかしこっちからすれば「えぇ…何言ってんだコイツ…」としか思えず、かえって異常さが浮き彫りになっているのが気持ち悪い。

物語としては微妙で、殺人から逮捕までを間延び気味に流しているだけ。特に殺してからが長すぎる。

そりゃそうだ。
理由もなく常に殺人衝動に駆られてる男がプランを立てられるはずもなく、湧き上がる興奮に従うまま行き当たりばったりに動くもんだからグダグダ。
ひ弱そうな体でヒィヒィ言いながら被害者を引きずり回すもんだから、被害者は余計に苦痛を味わう羽目になる。
本人が望むドラマチックな展開とは程遠い。

ただ常に不安に駆られるように「殺さなきゃ、殺さなきゃ…」とキョドッてるKは同時に少し哀れにも感じた。
歩道があるのに車道を堂々と歩き、出所直後にタクシードライバーを殺そうとする男が普通なワケが無い。
女性客をガン見しながらソーセージをしゃぶるように食べる姿は明らかに変質者。

自分でもコントロール出来ず、どう考えても社会に居場所を作れない男なのに、なぜ司法はこんな奴を放っておいたんだ。
社会から出さない方が本人にも世の中のためにもなったのでは。そう思うのは偽善でしょうか?



Kのモデルであるヴェルナー・クニーセクは現在もスタイン刑務所にて服役中である。
シマすけ

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