ブタブタ

アングスト/不安のブタブタのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
4.0
ボンクラ映画好きとしては結論から言うと決して面白くはなかった。
冗長で退屈。
ただ本作の主題や目的や価値はそんな処には無いと思う。
未だにこういう映画が時々突然発見されて現れる事に驚きと共に喜びを感じる。
『バーニング』の「全米28州で上映中止!」みたいな今だったらBPOに完全に引っかかる嘘大袈裟宣伝とか80~90年代のスプラッター映画全盛時代にはよくあったけど本当に「上映中止!」されてお蔵入りだった映画が存在してる。
日本ではビデオスルーで『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』のタイトルで極僅かな期間レンタルビデオ屋に並んでたらしいけど、その時偶然本作を見る事が出来た人はどう思ったんだろうか。
きっとホラー・残酷スプラッターだと思って借りて見て困惑したんじゃないだろうか。
実験的擬似スナッフフィルム。
ドローンが常に対象の「K,」の周りを飛んでるみたいな固定式可動カメラによる映像。
移動中カメラは殆ど「K,」を映しており、上空からの俯瞰、殺人が始まると少し引いたカメラワーク、場面の内容によってゲームスクロールみたいに切り替わる、極めて規則的で其れが実験動物による何か非倫理的な実験でも見ている様で、その視線は飽くまでも機械が自動的に撮ってるみたいな冷静で冷酷で無感情、なので「K,」に一切感情移入する事はなくそれ故にハラハラドキドキする事もない。
マニア御用達のレンタルビデオ屋として有名だった今は無き高円寺のオービスや、昔住んでた町田にあったやたらホラー映画の品揃えが良かった個人経営のレンタルビデオ屋にはもしかしたら『鮮血と絶叫のメロディー/引き裂かれた夜』が置いてあったのかもと思ったり。
死体って重いんだなと思ったりグダグダで全然上手く行かない殺人等、之がリアルなんだと思わせつつ、見てておかしい場面も結構あるのは殺人て非日常的な事を描こうとすれば現実その物がおかしくて狂っていくって事なのかもしれない。
死んだ被害者達がすぐに顔が真っ白になってゾンビみたいになったり「K,」だけでなく被害者のリアクションもモタモタしてたり映画みたいに何かが起きるわけでなく全てが淡々としてる。
危うく難を逃れた(?)ダイナーの女性二人組の「K,」が『これで俺も有名人だ』ってボンネットを開けた時のあの何とも言えない表情が何だか分からないけど爆笑だった。
普通の映画なら悲鳴あげたりする処なのに。
それとイヌ可愛い。
ブタブタ

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