片腕ファルコン

ザ・ファイト 拳に込めたプライドの片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

3.2
第二次世界大戦という時代の波に翻弄されてもブレなかったマックス・シュメリングというドイツ人ボクサーの自伝映画。
格闘技は好きですが、ボクシングに関してはそこまで詳しくないため…存じ上げませんでしたが、こんな人格者がいたとは…!!

1930年頃からヘビー級ボクサーとして頭角を表し、タイトルマッチでまさかの金的(ローブロー)で悶絶、倒れたまま反則勝ちの世界ヘビー級王者になったという微妙な展開。

ここまでならコメディ映画かな、と思われますが…そこからきっかりKOで防衛を重ねます。

一度負けて王者陥落するも、無敗のアメリカ人(のちに世界タイトル25連続防衛という不滅の大記録を打ち立てる名チャンピオン)ジョー・ルイスと対戦しKO勝利!!!!一躍英雄となります。

この頃、ドイツとアメリカの関係が悪化してこの試合が代理戦争として見られていたんでしょう。。

こっからが大事で、マックス・シュメリングにとっては政治は全く無関心!ヒトラーからナチスに入党すように勧められても断り、ユダヤ人のプロモーターと手を切れと言われても従わなかったし、ナチスの弾圧が開始されてもユダヤ人の少年を匿ったりもするのでありますよ!!

戦時中は軍人として参加する事が余儀なくされますが敗戦後もボクサーとして復帰戦い続ける姿は…ただただカッコいい!!

一応、ボクサー映画特有のトレーニングシーンや試合シーンもあるっちゃあるのですが、歴史的背景が強いのでどうしてもトーンは暗め、渋~い映画になってしまってます。。
映画としての派手さはないですが、マックス・シュメリングという人物を知る事ができて良かったですよ。スパイク・リーも映画化を熱望したらしいです。

調べると映画には出てきてない逸話がいくつもあって本当に人格者だったというのが分かります。

主演のヘンリー・マスケも元ヘビー級王者のボクサーらしいのですが、写真で見比べると本人と似てる!!

マックス・シュメリングは2005年99歳まで生きたらしい。大往生ですね!!

こんな感じでそろそろ柔道の木村政彦やグレイシー柔術の祖コンデ・コマの映画も見たい。。