風の旅人

レディ アサシンの風の旅人のレビュー・感想・評価

レディ アサシン(2007年製作の映画)
3.5
うなじに「23(enigma)」という数字のタトゥーを彫ったサンドラ(アーシア・アルジェント)の登場シーン。
ただならぬ色香を漂わしたサンドラに、マイルズ(マイケル・マドセン)は目を奪われる。
二人はかつて愛人関係にあり、互いに相手のslave(奴隷)となり、SMプレイに興じていた。
サンドラは新たな愛人のレスター(カール・ン)の命を受け、金のためにマイルズの命を奪い、フランスから香港へ国境を越え逃亡する。
ヨーロッパの秩序だった空気に対し、アジアの雑多な雰囲気の中、サンドラの異質な存在感が際立つ。
レスターに裏切られ、組織に追われることになったサンドラは、名前を変え過去と決別する。

アサイヤスの映画はジャンル分け困難なところに魅力がある。
何を描こうとしているのか分からず、観客は戸惑う。
それ故彼の作品は賛否両論渦巻くことになる。
今作はまるで二つの映画を繋ぎ合わせたかのように、前半と後半でまったく違う展開を見せる。
『Boarding Gate(搭乗口)』という原題が示すように、サンドラはフランスと香港で別の人生を生きることになる。
風の旅人

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