リチャード・フライシャーは色んなジャンルの作品を撮ったけど、やはりサスペンスにおいて一番面白いものを作っていたように思う。
初っ端からリチャード・アッテンボローの狂気と怖気の走る演出が光っており、この時点で素晴らしい作品になっていることがよくわかる。
家を借りた人物を信用させた後で襲うってアッテンボローの手法は後のクリーピーみたいな恐ろしさがあったけれど、蓮實重彦と追悼時に対談までした黒沢清は少なからずこの作品も意識したのだろう。
とにかく圧倒的なアッテンボローのサイコパス演技とそれを最大限に活かしたフライシャーの演出が際立つ作品だったが、これが実際の事件を基にしているというのが何より恐ろしい。