三四郎

高原の月の三四郎のレビュー・感想・評価

高原の月(1942年製作の映画)
4.6
北アルプスを背景にした牧歌的な作品!
ラストが急激に軍国調になるが、それまでは優しさ思いやりにあふれた心温まるヒューマンドラマ。

弟かわいいなぁ。そしてこんなに優しく美しいお姉さんがいるなんて羨ましい。高峰三枝子、三浦光子、佐野周二の三角関係になるのかと思いきや、全くそうはならなかった笑 松竹大船にしてはお珍しい笑
そのかわり、弟の友人が「ねぇ、君んとこのお姉さん、いい姉さんだねぇ。僕、羨ましくなっちゃった」と高峰三枝子の前で弟に耳打ちしている笑 この時、高峰三枝子がお土産に買ってきた本は「軍艦」と「戦闘機」の本。時代を感じる。

さて、「高原の月」と「ふるさとの灯」どちらの挿入歌も良い!何よりも高峰三枝子独唱シーンは監督からファンへのプレゼントのように思える笑 佐々木啓祐監督は、『荒城の月』も素敵な作品だった。彼の作品はもっともっと評価されてもいいのではなかろうか。広大な自然や田舎の風景をまるで風景画のように優しいタッチで綺麗にキャメラにおさめている。

教師同士である高峰三枝子と佐野周二の「子供の純真さ」についての会話はなかなか興味深い。深い話をしている。
1942年、アジア・太平洋戦争真っ只中、遠足で佐野周二が歌っているのは「敵は幾万」。映画を見ながら、こんな幼い子供達と、しかも遠足時に歌う歌なのか!と仰天してしまった。

父の戦死を知り涙涙の高峰三枝子。この頃までは戦死報告に泣いて悲しんだりしても許されたのかしら。検閲でよくカットされなかったものだ。
三四郎

三四郎