【ぶらりふれんち宇宙旅】
U-NEXTにて。キチンと通して見たのは初めてかな?1982年作のフレンチアニメ。これも、時代を振り返る面白さがありました。
『ファンタスティック・プラネット』のルネ・ラルー監督が、今度はバンド・デシネの大御所メビウスと組んで創り上げた、遠い宇宙の異世界。前作と同じ原作者ステファン・ウルのSF小説が元ネタらしい。
タイトルにある“時の支配者”が謎だったが、終盤でやっと“機械仕掛けの神”のように現れ、物語を解決に…は導かず、人類を搾取して終わる。www なんじゃこの話。前作での、異星人に飼われる人間といいこの監督、マゾっ気あるんじゃないの?
お話は無茶苦茶で納得感ゼロだし、遭難した友人の子供を救出に行く…というプロットがあるのに緊張感もゼロ。TVの旅バラエティ番組を楽しむ気分で、まったり付き合うのが適切かと思います。
当時のフランスでは、長編アニメ自体を作ることが大変だったらしい。脚本と同じく、画のタッチもバラバラだったりする。ロトスコープとカートゥーンが共存、みたいな。まあそれが、宇宙というもののごった煮感を醸していたりもするのですが。
バランスは無視して、放り込まれたSFアイデアだけを見れば、オモシロ物件多々!玩具箱をビミョーにひっくり返した感覚で愉しめれば、よい映画ではと思うのです。
“思想だけの化け物”なんて、思想と哲学へのからかいだよね。どんなに突き詰め考えても、現代の人間が到達できる真理には上限があるし、外からの縁に触れて、人の心などコロッと変わっちゃうものだしね。
悪い心を持つと臭くなる…なども、最近の日本アニメからはまず出てこない発想かと。
メビウスの美術力が炸裂している画もしっかりあって、見惚れます。動物よりかは植物の方がオモロイかな?
やっぱり、国内の売れセンばかりを追わず、様々な国や時代のアニメに親しむ方が、却って国内のアニメも豊かに変わっていくと思う。そう信じて、世界のアニメにより、触れていきたいものです。
<2024.8.4記>