カトヤン

ルール・オブ・デス/カジノの死角のカトヤンのレビュー・感想・評価

4.3
この映画はイギリスで1998年に公開されたものの大して話題にならずひっそりと終わってしまった。
しかし2年後アメリカで公開されると共に話題になりロングランヒット。主演のクライブ・オーウェンはハリウッド進出の足がかりをつけた。

マイクホッジス監督の作品は初見ですが、このシャープでスマートかつ冷やかな演出はちょっと類を見ない。
加えてクライブオーウェンの存在感が凄まじく、タキシードが似合いすぎるほどよく似合う。「殆ど感情を表に出さない人間」を演じきっている。

話は簡単で小説家志望の男が金のためにカジノのディーラー(クルピエ)の職を得る。しかし謎の女が現れて‥。
というよくあるノワール映画なのだが、この映画三人称で話が進行する。
つまり見ている内にナレーションは主人公の声だとわかるのだが、彼の書く小説の内容とも、彼の心の声にも聞こえるようになっている。
しかもその方法に無理がない。このやり方は目新しいものではないが、とにかくスマートなのだ。無駄が一切ない。
カジノの場面では主人公が喋り手を動かしつつ、完璧なタイミングでボイスオーバーが入る。高度なテクニックと演技が流れるように展開される。しかも全くこれ見よがしではない。

ルール・オブ・デスという適当な邦題をつけられた本作だがあながち間違いではなく、クルピエには必ず守らなければならない掟がある。
それを破ってしまったことからトラブルに巻き込まれる。というベタなストーリー(ルールがあるいうことは必然的に破ることになるのだが)流されるようにルールを破っていく。
主人公ジャックは凄腕のクルピエでかつて南アフリカで働いていたこともあるイカサマも見破るプロ。しかしこの世界で生きる気は毛頭なく、面接でも「食えればいい」と言い放つ。また小説も人生で一冊出せればいいと語る。ちょっと捕らえどころのない人物として設定されている。つまり映画的なヒーローではない。かといってアンチヒーローでもない。イギリス的なのか全く派手ではないキャラクターであり、映画の前と後で彼が変化したかもわからない。
そういった部分も結末含めて非常に面白いと思いました。

マイクホッジス監督作品は知る人が少ないのか日本国内で殆どDVD化されておらず、SF超大作の「フラッシュゴードン」と「ブラザーハート」のみ。
初監督作で最高傑作とも呼ばれるマイケル・ケイン主演「狙撃者 get carter」とオカルトサスペンス「ブラックレインボウ」が見たい。

この作品も埋もれてしまうには勿体無さ過ぎるので多くの目に触れるように早急にソフト化を望みます!