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ルール・オブ・デス/カジノの死角のbackpackerのレビュー・感想・評価

4.0
『ルール・オブ・デス カジノの死角』は、長らく見たくて堪らなかった映画です。
DVDスルーされませんので、諦めてVHSを購入しました。
クライヴ・オーウェン大好きな私には、若かりし彼の演技が見れて大変満足しています。

原題は『CROUPIER』。クルピエとは、所謂ディーラーのことです。カジノにおける花形職業ですね。

【あらすじ】
ジャック・マンフレッドは、小説家志望の若者。
南アフリカ在住時、現地のカジノでクルピエをしていた彼に、父から仕事先を斡旋される。
熟練されたクルピエの腕があり、いかさまも容易く見破るジャックだが、彼にとってクルピエはただ金が稼げればいいだけの仕事。
同棲する彼女とのすれ違いを感じる中、ある女性客と出会ったことで、彼の歯車が狂いだす……。


物語は不明瞭なチャプター分けがされています。
それらは主人公ジャックのモノローグで紡がれるのですが、彼の執筆する小説の章と連動しています。
このナレーションが単なる心内独白なのか、小説の読み上げなのか、はたまた第3者の実況なのかと複雑に聞こえてきます。三人称を交えたこのモノローグは、世界に引き込む大きな力を有しているのです。

元婦警の彼女の存在も、物語を面白くします。
彼女は、小説を書いているジャックが好きだと公言して憚りません。その為、夜中にカジノで働く彼との生活リズムのズレや、クルピエの為に金髪を黒に染めた行動など、彼の行い全てが気に入らなくなっていきます。
私の思う理想通りでいて!とヒステリックな言動を取りつつ、彼の事が好きだとアピールもする。
ソフトヤンデレな感じで、独占欲がビシバシ溢れます。
彼氏を仕事に奪われて、仕事に嫉妬する。女心は私には語れませんが、そういうものなんでしょうか?そういうものなんでしょうね。

ジャックの冷めた世界の見方、シャープ過ぎる思考、ちょっと歪な自己顕示欲も、とっても魅力的なアクセントになっています。
彼の平時においても淡白な対応や、お座なりな返答をオブラートで巧みに覆い隠す語りは、クルピエの彼をより一層冷静沈着鉄面皮な存在として浮き上がらせます。


クライヴ・オーウェン、やっぱり魅力的な役者さんです。
昔はジョージ・クルーニーが一番好きだと広言して憚りませんでしたが、近年はクライヴ・オーウェンに移行しました。
もっと彼の出演作品を見ていきたいです。
今年度の目標にします。
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