みおこし

スパイナル・タップのみおこしのレビュー・感想・評価

スパイナル・タップ(1984年製作の映画)
3.9
架空のハードロックバンドを、あたかも存在しているかのようにリアルに描いたドキュメンタリー風コメディ『スパイナル・タップ』。ロック好きにはたまらないそのシュールな内容と、唯一無二の設定が特徴の変わり種作品。

色んなロックバンドへのオマージュが見て取れましたが、とにかくツアー中にどんどん路線が崩れていくという流れなので、びっくりするくらい路線バラバラ(笑)。
『Big Bottom』『Sex Farm』のド直球な感じはツェッペリンとか、同じくイギリス出身のヘヴィメタルバンド、ジューダスプリーストのコテコテな感じがありつつも、『Stone henge』みたいに突然宗教的?精神的?観念を語り出すところはピンク・フロイドやブラック・サバスを彷彿とさせるし...本当によくここまて再現してるなと終始釘付けでした。こまか!(笑)

インタビューが8割何言ってるか意味わからない感じとか、バンドメンバーがすぐ喧嘩して辞めて復帰しての繰り返しだったりとか、コンサートの裏側で機材搬入のミスとか発注ミスが多発したりとか、もう一つ一つの事象が本当のバンドさながら。調べたら向こうでは「スパイナル・タップよりひどい」みたいな表現は、ロックバンドへの最大のディスりらしい。
カメラワークが完全にドキュメンタリーの手法だけど、実際出てるのは役者さんだから妙に演技?というか感情表現がリアルで最後はじーんとしちゃった!フツーにいい話です!(笑)

一つ一つの細かい描写はもちろんのこと、スパイナル・タップのダサさとカリスマ性の紙一重な部分を決してバカにするだけのコメディじゃなく、ちゃんとロックへの敬意みたいなものをオチで感じたので、きっとロブ・ライナーはじめスタッフ一同ロックが死ぬほどお好きなんだろうなと。
でなきゃそもそもこんなパロディやらないだろうし!彼らのロック愛こそ、本作は名作として今も燦然と輝いてる所以だと思います。しかも演奏はキャストが実際にやってるので、本当にこの作品以降バンド活動してたらしい、スゴイ。

爆笑というよりは、ロック好きがお酒を飲みながらニヤニヤするための映画。個人的にはツボでしたが、あまりロックに興味ない人は厳しいかも...。
でも何より特筆すべきはこれが最近作られたものってことではなく、本当にロック全盛期の時代80'sに作られてること!!だからこそこの再現度が際立つ!!多くのロックスターも鑑賞したんだろうなあ。
ロブ・ライナー、しれっとインタビューアー役で出てますが本当に天才だと思います。キャストもほぼアドリブらしいけどよく笑わずにできるな...。イレブンのくだりとか、ストーンヘンジのくだり最高!!

さーて、サントラ聴き込もっと!(笑)
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