◆『スメル・ザ・グローブ』全曲解説◆
伝説のロックバンド、スパイナル・タップの全米縦断ツアーの様子を収めたドキュメンタリー公開と共に待望のニューアルバム『スメル・ザ・グローブ』が発売された。このアルバムはロックンロールに通じていないと理解が困難なので、この解説や他の記事も熟読したうえで拝聴することをオススメする。
01.安定しないドラム、ヤー!
冒頭にこれを持って来る覚悟。それがこのアルバムを象徴している。凡庸なメロディなのに一度聴いたら忘れることが出来ない。
02.邦訳が変だ
BPM500の破壊力に満ちた葬送曲。確かに「これ」を“是”と変換するのは意地悪の何物でもない。「良いこと言う」が「言いこと言う」なのは確実に誤植である。
03.ボリュームの目盛りは11
たかが1。されど1。その違いを知る大人によるポップチューン。前作に収録された『ギターが多くて弾ききれない』の姉妹作にあたる。
04.金属探知機
デレクのソロが活きた渾身の楽曲。多くの説明は不要だろう。
05.貝が開かない
これもデレクの楽曲。まさかのツインベースは筆者も驚いた。
06.乳首とジャケットの色は黒
レコード会社との軋轢を風刺した曲。しかし、このアレンジが彼らの本領発揮した姿とは思えない。彼らのポテンシャルは無限大のはずだ。
07.俺のラブ・ポンプを舐めろ
ナイジェルによる最強のロックバラード。扇情的な歌詞と抒情的なピアノ。この水と油の関係を融合させることが出来るのは彼だけ。泣けるぜ。
08.踊るストーンヘンジ
シングルとして先行カットされた曲。「禍を転じて福と為す」という諺を具現化した歌詞は魂の叫びでもある。そして、これからも伝説として語り継がれるのだ。シビれるぜ。
09.ベスト・フレンド・フォーエバー
アルバムを締める日本人必聴の曲。元の鞘に収まるとか軽々しく言ってはならない。あくまでも軌跡は螺旋状。常に成長している…それがスパイナル・タップなのだから。
(解説・渋谷炬燵)