床ずれ

ことの次第の床ずれのレビュー・感想・評価

ことの次第(1981年製作の映画)
4.0
ドゥルーズは『シネマ2』のなかで、時間は金銭であり、金銭は時間であると言っていた。だから映画が金銭に直面するということは、運動イメージが時間イメージに場を譲ることなのだと言う(107頁)。この映画で映される撮影スタッフたちは金が無くなって映画を撮ることができない。その代わりスタッフたちには暇(time)が出来て、ただ時間だけが流れてゆく。いわば時間のインフレ状態と言えるかもしれない。その時映画は時間の秩序が少し揺らぐ。時間の蝶番が外れてしまった時、窓を破って飛んできた松の木は、不吉な前兆を伝える予言となり、死に絶えつつある映画は、生存=残存者となり、亡霊のごとく死後の生を生き続けるのだろう。
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