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巨神兵東京に現わるのtetsuのレビュー・感想・評価

巨神兵東京に現わる(2012年製作の映画)
5.0
かつて、地上波で放送された際に録画していたものを鑑賞。
(よって、レビューの内容は『巨神兵東京に現わる 劇場版 TV版』になります。)


[あらすじ]

東京に、突如として現れた巨大な生命体・巨神兵。彼らは町を炎に包み込んでゆき……。


[概要]

2012年に行われた展覧会「館長 庵野秀明 特撮博物館」の企画として製作され、後に『……劇場版』といった形で、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』と併映された短編特撮作品。監督は、平成ガメラシリーズの特技監督を務めてきた樋口真嗣さんで、脚本として、庵野秀明さんが参加している。


[感想]

破壊の美学が凝縮された約10分。

音楽とナレーション、映像の組み合わせが、あまりにも好みすぎて、よく分からない涙が出てきてしまった……。

本作は、宮崎駿監督『風の谷のナウシカ』に登場した人工生命体・巨神兵を実写で表し、東京が破壊されるさまを描いた本作は、まさしく、『シン・ゴジラ』の原点と言えるもの。

もっとも、庵野監督は映画『風の谷のナウシカ』で「巨神兵」の原画を担当した縁から、宮崎監督との師弟関係を築き、エヴァンゲリオンやシン・ゴジラの造形にも、少なからず影響を与えたキャラクターという意味で、ある種、原点に立ち返った作品ともいえる。

内容自体は、「巨神兵が東京を壊滅させる」という、簡潔かつ絶望的な筋書きながら、その内容が結果として、併映の『……Q』ともリンクしているのが、面白い。

成す術なく遂行される世界の終末(=黙示録)と、そこから示唆される新世界の始まり(=創世記)。

それは、まさしく、旧来のエヴァンゲリオンシリーズの大まかな流れと同じでありながら、平成ガメラシリーズの完結編で描かれた"終末へと向かう物語"とも連なるもので、庵野秀明監督と樋口真嗣監督の作家性が凝縮されたような作品だった。
(それゆえ、作品全体を覆う神々しい雰囲気に圧倒された。)

ちなみに、本作に関する記事を調べていたところ、庵野秀明監督は、長年、『風の谷のナウシカ』の続編(もしくは、スピンオフ?)に強い興味を示しているようで、『シン・ウルトラマン』が落ち着いた暁には、そちらの企画が動き出すのではないか?と、個人的には予想している。


参考

今夜金曜ロードSHOW「風の谷のナウシカ」庵野秀明は巨神兵の呪いから逃れられない - エキサイトニュース
https://www.excite.co.jp/news/article/E1484235585209/ 
(突き詰めれば、『シン・ウルトラマン』も巨神兵な気がしてきました。笑)

エヴァシリーズ総監督庵野さんと宮崎監督の師弟関係のはじまりとは?少年・アスベルの声はもののけ姫のあの人!「風の谷のナウシカ」の制作裏話第3弾!|金曜ロードシネマクラブ|日本テレビ
https://kinro.ntv.co.jp/article/detail/20190104
(伝説の師弟関係について、少し触れられています。) 
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