SHIDOU

ロッキー5/最後のドラマのSHIDOUのレビュー・感想・評価

ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)
5.0
ラストファイト。
それは心たぎらせるものではなく、悲しみの集積というべきものであった。爽快感はない。トミーガンの悲しみと、ロッキーの悲しみ。さながらその2つが成仏するための葬儀場であった。

ロッキーシリーズの何がいいかって、人間ドラマがしっかりしているところだ。ボクシングのシーンはたしかに心に直接有無を言わさず響くものがあるが、それは闘いに至るまでのドラマの結果だ。決して添え物じゃない。

そういう意味で、今作は完全に主従関係が逆転したものであり、物議をかもすのも無理はない。

だがそれ故に自分にとっては1と肩を並べるくらい心に響いた作品となった。

今作で特に印象的なのは、かつてないほどの激情を見せ、全力でロッキーを守ろうとするエイドリアン。

シリーズ全作を通して言えるのだが、どんなにロッキーが惑う事があっても、エイドリアンとの間の愛情だけは揺らぐことがない。そこがたまらなく愛おしい。
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