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突撃のganaiのネタバレレビュー・内容・結末

突撃(1957年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ネトフリ版「西部戦線異状なし」を観てこの作品を思い出したので…

第一次大戦独仏国境で数年に渡って激戦が繰り広げられた塹壕戦を舞台に、成果を焦って無謀な作戦を実行する仏軍の将軍と、作戦を放棄して撤退した見せしめに処刑されそうになる兵士3名の間に立って正義を貫こうとするダック大佐(カーク・ダグラス)を通して戦場の不条理と僅かな希望を描いた巨匠スタンリー・キューブリック監督1957年のメジャー進出作。

ドリーを多用した後退移動ショットやシンメトリーを意識した構図など、後のキューブリックスタイルが既に本作で確立していると同時に大規模かつリアルな戦場描写に驚く。

後半は一転して軍法会議を描いた法廷劇になるが一方的に上層部が取り仕切る絶望的な展開になるが、最後の最後にひとりのドイツ娘(後にキューブリック夫人となるスザンヌ・クリスチャン)の可憐な歌声が荒くれ者の仏軍兵のヤジを涙に変え、その様子を見たダック大佐が希望を新たにして次の戦場に向かうシーンで映画は幕を閉じる。

その後のキューブリック作品の多くが2時間越えの長尺になっていくのに比べると本作は86分と短尺だが、それを感じさせない高密度な作品。

安全な城に閉じこもって贅沢な食事に耽る無能な将軍の描写などネトフリ版「西部戦線異状なし」との共通点が多い。
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