勝沼悠

ナチスの犬の勝沼悠のレビュー・感想・評価

ナチスの犬(2012年製作の映画)
3.2
 オランダでユダヤ人でありながら自らがユダヤ人移送に関わることで多くのユダヤ人を救ったズスキントの姿を描く。

 「シンドラーのリスト」のシンドラーと違いこのズスキントは多くのユダヤ人を強制収容に送っていて、その中で子どもなどを少しでも救おうと奮闘する。表向きな姿はまさに”ナチスの犬”。
 この映画が面白いのはそのズスキントの苦悩の姿だけでなく、彼が騙すこととなるナチス大尉の姿だ。ユダヤ人にとって恐怖の権化であるはずの大尉は、実際は自分もいつ戦場に送られるかと怯える弱い存在だ。ズスキントに本当に友情を抱き、裏切られて失望するただの人間なのだ。
 
 一味違う深さを持ったオランダ映画。
勝沼悠

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