滝和也

エイリアン2 完全版の滝和也のレビュー・感想・評価

エイリアン2 完全版(1986年製作の映画)
4.4
激突する母性!

「子供に触るんじゃねぇ!
このアバズレが!」

意訳…滝にはこう聞こえました…。
80s傑作選!アクションの傑作中の傑作

「エイリアン2」

これはもう、お若い皆さんには古典的名作になっているんでしょうか。エイリアンシリーズ内でも最高傑作の呼び声高い第二作です。

ジェームズ・キャメロンは、ゴシック色のパニックホラーであったリドリー・スコットの名作をその設定の良さ、ギミックはそのままに、大胆に戦争アクションの要素を注入し、アクション・サスペンス・ホラーと全てを兼ね備えた大作を仕上げました。キャッチコピーも

「今度は戦争だ!」

でしたし。名コピーですよ。これは(^^)

ターミネーターで一発当てた才気闊達な頃であり、そのストーリーテリングやサスペンス、アクションセンスが正に爆発した傑作です。この自身の得意分野に
引き込んだことが二作目を傑作に変えましたね。同じ土俵で喧嘩をしなかったのが正解です。

前半はサスペンスとして、エイリアン登場のタイミングは実はかなり遅いんです。リプリー、それ以外のキャラクターの説明に当てながら、世界観を構築します。前作から57年が過ぎた未来、リプリーが母であったこと、宇宙海兵隊、進んだ兵器、新たな合成人間の存在etc…。そこから物語は紡がれており、布石が効いてくる。エイリアンの巣に誘い込まれる小隊、レーダーで近づくエイリアンの影を感じさせるギミックの上手さが光ますよね。そこからリプリーの活躍そして中盤…タイムサスペンスを盛り込みながら、前作を踏襲するホラー展開と裏切り。そして怒涛のアクションの終盤へ。

ニュート、生き残った少女に娘をみ、守るリプリーの女性としての母性。そして卵を返す女王バチとしてのエイリアンクイーンの母性が激突する終盤のあのシーンが最高でしょう。ニュートを助けにエイリアンの巣に飛び込むリプリー。ニュートを助け飛び込んだ場所がエイリアンクイーンの産卵場所。カメラがパンしながら映し出される威風堂々としたその巨体。睨み合う女とメス。その一瞬の間で互いの子供を守らんとする母の緊張感を伝えてくる演出。意を決し火炎放射するリプリーと怒り心頭で追う女王。シガニー・ウィーバー演じるリプリーの表情が最高です。

そして前作を踏襲した二段構えの戦い。パワーローダーに乗ったリプリーの勇姿。復讐に燃えるエイリアンクイーンに放つ冒頭のセリフが最高過ぎる。

ニュート役の子役が抜群に上手く、リプリーを呼ぶ声が耳に残ります。また物語を回す狂言回しとして抜群の存在感。更にシガニーの相手役、ヒックス伍長にマイケル・ビーン。ターミネーターからの連投で強きヒロインを助ける良い男役。淡い恋愛感情をさり気なく映し出す。そしてもう一人の強き女性兵、バスケス。ビームスマートガンを構えた姿は男勝り。今ならミシェル・ロドリゲスの役でしょう。そのラストを含め、ヘタレな指揮官ゴーマン中尉と共に印象に残りますね。また前作を踏襲し伏線をはられた合成人間ビショップの存在感。その使われ方も絶妙で面白い!各キャラクターが巧みに使われ、脱出劇を盛り上げてきます。

確かまだほぼCGはなく、VFXと言われる特撮技術、光学合成、マットペインティング、リアルなセットで作られているはずの作品ですが、その演出力とストーリーの力強さが迫力を持たせ、今見ても全く色褪せていない傑作です。

やはりエイリアンは1と2は外せませんね。未見の方は是非オススメです。
滝和也

滝和也