YasujiOshiba

エイリアン2 完全版のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

エイリアン2 完全版(1986年製作の映画)
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ブルーレイボックスでの鑑賞。今回は20分長い完全版で、未公開シーンのチェックが入るように設定。冒頭に、じつはリプリーが母親だったというエピソードがあったことに驚く。なるほどキャメロンは、子供を亡くした母親の復讐劇がやりたかったわけだね。そう考えると『ターミネーター』の母親の存在とも結びつく。

『ターミネーター』がらみといえば、マイケル・ビーンは未来からの戦士カイル・リースだから、とうぜんシガニーが依代のリプリーとは惹かれ合うのよね。でも登場したときと同じように、最後も眠っているうちに全てが終わってしまう。

監督たちによる音声解説では、シガニー・ウィーバーはエイリアンを殺すのではなく、むしろ交わりたいと考えていたという。そっちは、3と4で実現させたと言うから、ゆっくり確認することにして、でもまあ、ウィーバーとの意見の対立が、エイリアン2でのリプリーのキャラを少し深めたともいえるのだろうね。

もうひとつ。海兵隊のキャラ設定は、ヴェトナム戦争のころ、人気が終わりかけのヴェテランたちのイメージだったという話。なるほど、近頃の海兵隊ならもっと規律正しいのだろうけれど、この映画ではなんとなくだらけていて、それでいて自分達の装備には自信たっぷりで、向かうところ敵はないような厚かましさを漂わせる。この厚かましさは、かつては地下にトンネルを張り巡らせたヴェトコンのゲリラ線によって粉々に吹き飛ばされ、この映画でもまたヴェトコンさながらに天井の隙間から忍び寄ってくるエイリアンの集団に木っ端微塵にされることになる。

それにしても、パワーローダーとエイリアンの対決のシーンはいいよね。ミニュチュアと原寸大の模型を組み合わせて撮影したというのだけれど、CGのない時代だからこそ迫力。あのパワーローダには、ウィーバーの後ろにマッチョなボデイビルダーが隠れていて、彼がローダーのアームを動かしたとのこと。まあ、細かいカットの組み合わせのおかげで、アラはみえずに迫力たっぷり。でも、当時はデジタル編集がないから、フィルムを切っては貼り付ける作業。あんな細かいくカット割してたら、それやもう大変だったと思うわ。

堪能しました。
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