中盤からやや駆け足な展開なれど溝口+宮川一夫の時代物の美しい情緒感は健在。
能にも通じるような幽玄とも言うべき映像美である。
内容では特に安寿と厨子王の幼少時代はよく雰囲気があるのだが成年した厨子…
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「人は、慈悲の心を失っては、人ではない。己を責めても、ひとには情けをかけろ。人は、等しくこの世に生まれてきたものだ。幸せに隔てがあってはよいはずがない」
父から授かった教えと家族の存在が自らを支え…
人身売買、奴隷労働、女性の犠牲。
ストーリーは正直面白味に欠けるかな。悲劇を描いたお話なので、楽しさや感動は求めるものではない。でも、だいたいこういう映画は、2度目の鑑賞でやっと魅力が分かるんだよ…
学生時代に観て感動したきり、久々の再見。
相変わらずの主人公イジメだが、物語自体はかなりシンプル。
他の溝口作品を観た後だと「あれ、こんなもんだったかな」という気持ちも少しあったが、息を呑むような…
これほどまでに兄妹愛や親子愛を深く描いた映画が今まであっただろうか。しかも60年以上前の映画だ。むしろ、家族愛がうすれている今だからこそ逆に新鮮に映る。それと役者の演技が完璧だ。田中絹代がどれほどす…
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山椒大夫でひどい扱いを受けた子供ふたりの物語。
最終的にお兄ちゃんだけが救われたっていうのがなんとも悲しい。
お兄ちゃんの身代わりになってる妹、溝口健二作品らしく、女性がやっぱり強かったなあ。
お母…
モノクロで描かれる物語で、その特性を把握しつくしてここまで美しい映像に仕上げてる作品があるだろうか。
それは有名な安寿が湖に身を投じるシーンは勿論のこと、ラストの海や、森の中、ふとした風景の切り取…