y

クレイジー・キラー/悪魔の焼却炉のyのレビュー・感想・評価

4.0
ウェディングドレスで着飾った女性のみを手にかける変態的な美学を持つ、狂気を内に秘めたイケメン紳士風の殺人鬼が主人公。憎しみ合っているのにも関わらず、「絶対に離婚しない」という妻との暴言に満ちた不和な生活、陽の光に照らされた優雅な朝食シーンでそれをやるのだから面白い。警部との対話や、ドレス部屋に女を招いたとき等、フルショットからカメラがぐーっと顔にクローズアップしていく演出が不気味で良かった。多用される瞬間的なズームイン/アウトが映画のリズムを崩さないのがマリオ・バーヴァの凄いところだなぁと思う。
戸棚からギラッギラの出刃包丁を取り出し、オルゴールをかけながら、人形のように綺麗になった女を殺しに臨み、死体を愛でるようにしながら焼却炉に放り込む一連のシーンが素晴らしすぎて見とれてしまった。煙突から上がる黒煙は、中野量太の某映画のラストシーンが、如何に演出を分かっていなかったかを体現するには十分な不穏さだった。ただ、緊張感や緩急含めて、やはり列車映画だったオープニングが一番面白かったな。
y

y