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怪談昇り竜のvizilakeのレビュー・感想・評価

怪談昇り竜(1970年製作の映画)
4.0
石井輝男が撮る作品は基本的にカルトになる。。
彼が自己表現をすればそうなってしまうことが自然なことなのだろう。。
例外なく『怪談 昇り竜』のカルトなわけだがこの作品は一際異様だ。。
勿論彼の代表作である『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』程のインパクトはないが、、どうも変なのだ。。
梶芽衣子主演の任侠映画である今作は中途半端はホラー要素を取り入れられた怪奇ムービーに仕上がっている。。
よくあるヤ◯ザの組同士の死闘に黒猫の祟り的なものがやんわり絡みなんともヘンテコな作品なのだ。。
あまりまともに観ることをお勧めしない。。
消化不良の点が多いのでしっくりこないのだ。。
しかも、観る限りでは狙って中途半端な作品を作ろうとしているようには感じられない。。
きっちり作ったものの中途半端な構成になってしまったようにしか感じられない。。
真っ当な駄作だ。。
しかし、この作品の凄いところは、、
そうでありながらも石井輝男の力技で無理矢理カルトの傑作になるように捻じ曲げられているところなのだ。。
ここまで言っといてなんですが、この映画は傑作です。。
脚本も消化不良をビジュアルで魅せる石井輝男の手腕。。
血の吹き出し方や散りばめられたユーモアなど細かい点も素晴らしいが、、
やっぱりお得意の見世物が最高だ。。
この映画はここに尽きる。。
浮世離れした見世物小屋の不気味さも、アヘンまみれの娼婦の退廃的な美しさも、土方巽の存在感も、、
完璧の一言だ。。
素晴らしい。。
作品は全体のバランスも大切だが、何かをを欠落させてどこかを過剰に特化させる方が面白いものが生まれる。。
石井輝男は分かっているのだろう。。
、、いや勝手にそうなるのだ。。
彼自体がカルトなのだから。。
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