学生のころに見たときは、ジャン=ピエール・レオが背負ってきた映画の光にやられて、あのラスト(選択)に納得したようなフリをしてしまった覚えがあるが、いま歳を重ねて見返すと、やはり殺し屋は仕事をまっとうするべきではなかったのか。
消えゆく命を、まだ生きていく(つもりがある)ジャン=ピエール・レオに託したのだと、それは分かるが、その希望は「演歌」の世界や。
アキ・カウリスマキは、シニカルではあるが、人を信じている。どちらかといえば性善説の作家なのがよくわかる。愛は人生を前向きにさせ、その傷だらけの運命を変えるには、自ら一歩踏み出さなければならない。なんだよ、酒のんでタバコ吸ってひとり孤独にダラダラしているだけの映画(人生)じゃダメなのかよカウリスマキ…。