ピアース・ブロスナンがリーアム・ニーソンに執拗に追いかけ回される追跡劇。冒頭から多くは語らないスタイルで、追う者と追われる者、それぞれの背景は少しずつ明かされていくだけだ。この男たちの間に何があったのか？その単純な疑問こそが物語への引き込みと早く先を観たいという思いを強くさせる。
淡々と映し出される大自然も静謐で美しく、雪に覆われたルビー山脈から始まり、からからに乾いた広大な砂漠でその物語は幕は閉じる。私は本作を過酷な環境の中でさらに命のやり取りが描かれる男たちだけの物語だと感じる。それ故にラストの呆気なさに開いた口が塞がらない。今までの礎が台無しな上にアンジェリカ・ヒューストン演じる行商人が取って付けたような役柄で興醒めしてしまった。詰めが甘いというか、ラストの展開はもう少しどうにかならなかったのだろうか…。とまれ復讐の果てにあるのは赦しなのかもしれないな…。
それから、マイケル・ウィンコットやザンダー・バークレーなどアクの強い脇役たちが観られたのは嬉かった。ブロスナンはボンドのイメージがやはり強いので髭面というだけで新鮮に感じてしまうな～。
