滝和也

フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳の滝和也のレビュー・感想・評価

3.9
激突!和製ドラゴン
VSジェット・リー!

己を鍛え、宇宙心理に
至る!それが武術だ!

「フィスト・オブ・レジェンド」

ブルース・リーの名作、ドラゴン怒りの鉄拳をリメイクしたリー・リン・チェイことジェット・リー主演作。ストーリーの柱はブルース・リーの作品と同じですが、ヒロインを日本の中山忍が務めた事を筆頭に抗日映画としての色合いが抑えられ、より武術アクションとして見易く、迫力を増しています。

詳述すると、原本通り、日本租界が作られし魔都上海で権勢を振るう日本陸軍、その武門である黒龍会虹口道場と師父を殺された精武門の陳(チェン)の戦いを描いていますが、師父の息子とのライバル関係と友情、ヒロインとの愛、そしてヒロインの叔父である黒龍会でありながら、中国との争いを憂う船越こと倉田保昭先生を登場させ、時代により、悪に染まる人間こそ悪であると言う論法に転換している点を加え、ストーリーに関して深みを増しています。

和製ドラゴンこと倉田保昭先生は、香港で活躍し、日本へと逆輸入されたカンフースターであり、この役は正に適役。往年の闘えドラゴン、Gメン75での活躍を彷彿させる見事なアクションをジェット・リーとの対決で見せてくれます(^^)飄々とした中にも武蔵ばりの兵法と空手、合気の技、そして見事な適応能力を魅せる日本一の武術の達人。達人ジェット・リーとの互いに目隠しでの組手は正に名人芸です。

この対決を挟んだ上に、更に敵となる藤田とのラストの対決もまた見事。ジェット・リーはブルース・リーの華麗なステップを魅せ、剛体術を使う強敵藤田と相対します。これが中々強敵で見応えがあり、迫力もかなりなもの。ステップ以外にもヌンチャクに近いアクション(彼の得意な鋲票に近いですが)でブルースへのオマージュを入れてますね。ラストも原本への愛を見せながらも、少し捻りが入っており、只の抗日に終わらない点が私は気に入ってます。

ヒロイン中山忍は山田みつこさん役(笑)でほぼ全て日本語、それ故ジェットも日本語を喋ります!日本語はドニー師父よりかなり上手いですね(^^) 中山さんは今や2時間ドラマで外せない方ですが、この時はまだまだ若手。演技はアイドルレベルです(T_T)

これは中々楽しめる作品です。お話を巧く変更していますので、日本人でもイケます。ジェット・リーの隠れた(隠れてないかな(^^))傑作ではないでしょうか?
滝和也

滝和也