イシダコ

ラ・パロマのイシダコのレビュー・感想・評価

ラ・パロマ(1974年製作の映画)
3.5
怪奇映画のような雰囲気と奇妙な音使い、求めていたダニエル・シュミットのテイストは充分に堪能できた。スローすぎる語り口に期待はやや下回ってしまったが、死後の世界で味わう浮遊感のようなものと捉えれば、むしろある種の心地よさとしてそれはそれで許容範囲とも言える。シリアルキラーのようなデブい風体の偏愛青年貴族イジドールの絶妙なキモさがたまらない。ラストの沈む夕陽の中のバックショットは、確かに『悪いけ』の朝陽エンディングとも双璧をなすような画ヂカラが感じられる。『ヘカテ』の青と対になっているような赤いクレジット、狐につままれたかのような感覚に陥るエンディングの潔い締め方など、細部でシュミットのセンスの良さが光っている
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