父親の敵対者を銃殺した経験をもつガンマン(ジュリアーノ・ジェンマ)が、悪徳組織に狙われている貴族の少年を匿う。スプラッター路線に転向する直前のフルチが手掛けている、マカロニ・ウエスタン(イタリア製西部劇)。
主人公、窃盗魔、貴族の少年が凸凹パーティとなり、難局を乗り越えていく。マカロニ・ウエスタン衰退後の爽やか系西部劇だが、フルチの洗練された演出力により、ぐいぐいと牽引させられるため、西部劇の様式美を堪能することができる。
反権力主義を掲げているアウトローが、富裕層の英才教育に翻弄されるという構図があまりにも可笑しい。「人生は勧善懲悪ではないこと」を如何にして次世代に伝えるべきか、という普遍的命題が感じられる。
主人公のもつ「銀の鞍」が特殊なアイテムとして活かされないのが不満だが、西部劇役者ジュリアーノ・ジェンマの鎮魂的作品という側面では、抜群の説得力を誇っている。