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最低で最高のサリーのan0nym0usのネタバレレビュー・内容・結末

最低で最高のサリー(2011年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

the art of getting by…

過程のアート…とでも言うべきかな。

インスタレーションアートを感じさせてくる、爽やかな作品でした。

年末の忙しさで作品を観る時間がなくて、久々にテレビの前でゆっくりしながら観てましたが…肩の力を抜いてくれる柔らかさのあるストーリーは個人的に好感触。

「全てが無駄なこと」

そう割り切ってしまっているジョージ。
彼の姿が、ぼんやりと私たちに重なる。

どうせこんなもんだ…
何をしたって同じだ…

それを視界に入らないようにして、それでも結局抱え持っていて…何かキラキラするもの、自分だけの大切なものへの欲求を内に秘めて過ごしてる。

いいことも、悪いことも…
なんでもない顔して、普通にやってくる。
できるのなら、いいことだけ選んでたい。
でも、そうは行かないのが人生。

ガムシャラなんて、カッコ悪いし面倒くさい…流されてる方が楽だし、平常でいられる。なのに苛立ってしまったりしてね。

でも…つまらなくなるよ。
何か、起きて欲しい。
心を動かす、自分が刺激される何かが。

それを探して彷徨ってる過程。
この茫洋とした感情。

誰もが同じように彷徨いながら…
何かを、誰かを、見つけていく。

カッコ悪い自分を曝け出せる何か。
思考の空白を埋める大切な何かを。

そっち側に行けば…カッコつけてる自分の方が、何倍もカッコ悪く思えるよね。

この言いようの無い、柔らかくて、弱々しい、ウブな感情のクオリアが心地いい。

やっぱり私はエマ・ロバーツ好きだなー。
何処か欠けてるトコがとても魅力的。

男女問わず、少しくすぐったい気持ちにさせてくれるんじゃないかな…ウブさが無くなったなんてさ、単に自己暗示で麻痺ってるだけだから。

自分から外側は、刺激で溢れてる。

空白に、妥協のない自分を描く。

今はまだ、その過程。

描き切れるといいな…
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