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フライト236の光のレビュー・感想・評価

フライト236(2010年製作の映画)
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クライマックスだけの惜しい作品。
ある航空機の動力トラブルによりエンジン停止からの不時着で一躍英雄となった機長だったが、過去の服役記録などによりバッシングを受けてアルコール依存症まで落ちていくという話を描いたヒューマンドラマ。
大勢を救った英雄から一転して転落する機長を描いたデンゼル・ワシントン主演の『フライト』とかなり酷似している。
印象操作によって航空パニック映画と思わされて観始めた映画だったのだが、想像とはだいぶ違ってましたね。
というのもこの映画は実話を基にしているらしい。
それゆえに人物描写も丁寧でリアルに描かれていた。
英雄が落ちぶれてからの克服というのはありがちだがドラマチックではあった。
とはいえ期待していた内容とは違い、ダレた構成にちょい不満を感じる。
中盤の刑務所に服役していたというエピソード無駄じゃね?とか思ったりもしたが実話として必要なエピソードなのだろう。
この手の作品にしては尺も長めなのでもう少し削ってほしい感も随所にあったが実話として必要な部分だったのだろう。
ストーリー構成も主人公の回想語りで進行するので時間軸もバラバラでわかりにくい展開も多々ある。
それだけやって引っ張ってのラストの航空事故シーンのカタルシスが最高に素晴らしいことになった。
まさにクライマックスの緊張感という演出の妙が見事。
飛行中に燃料が漏れて空中にばら撒きながら飛行する航空機のシーンもヤバさの演出としては良かった。
そして完全に燃料切れから無動力飛行になり機長とCA、乗客の深刻を表した演技も上手かった。
空中でエンジンが停止して滑空するだけの旅客機をいかにして不時着させるか?
この一連の流れがほんとうにすごい。
そのままストレートに成功させるんじゃなくて、高度が高過ぎているから一回360°旋廻しようとする時の管制センターの「正気じゃない!」みたいな反応を入れているのが良いね。
このクライマックスの事故シーンはほんとうに手に汗握るハラハラ感ですごく良かった。
そこに至るまでのダラダラ感も帳消しになるくらいの緊迫感で元が取れたね。
とは言っても全体的にはやはり見所の少ない作品として惜しいと思う。
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