顔を真っ白に塗りたくり白いドレス姿で横浜の街角に立ち続ける元高級娼婦の老婆、ハマのメリーさんを追ったドキュメント。
都市伝説やオカルト的に取り上げられるのではなく彼女の実人生を追うと共に戦後アメリカ人の街として再生していく横浜を追っていきとても興味深かった。
戦後横浜の夜の風俗史を記憶している人達の貴重なインタビューも見応えたっぷり。
アメリカ兵、ヤクザ、警官、娼婦が集った大衆居酒屋兼お座敷の根岸屋のエピソードはこれだけで一本の映画ができるほど。
とにかくメリーさんについてかたる証言者たちのキャラクターが濃すぎる。
それぞれが貧しくも活気のあった時代を生き抜いた主人公。
メインの証言者であるメリーさんに母を重ねて支援してきた末期ガンで余命いくばくもないシャンソン歌手永登元次郎がある日横浜から姿を消したメリーさんの思い出とを語りながら消息を追う展開のラストが劇的すぎる。
最後かもしれないステージで永登さんの歌う「マイウェイ」を穏やかな表情で聞くメリーの姿は卑怯すぎる。
絶対に泣くわ、こんなん。