horahuki

死霊懐胎のhorahukiのレビュー・感想・評価

死霊懐胎(1979年製作の映画)
3.4
『エスター』の元ネタ!?
…ではないかと私が勝手に思ってる子ども怖い系ホラー。

突然やってきた妊婦が子どもを産んで消えた…
仕方なく、赤ちゃんにボニーという名をつけて自分たちの子のように愛情をもって育てる夫婦だったが、実の子たちがひとりまたひとりと事故で死んでしまう。その側には必ずボニーがいて…。

勝手にやってきて子ども産んでどっか行っちゃうというクソ迷惑な妊婦も大概ですが、その妊婦を探すことも怒ることもせずに黙って赤ちゃんを育て始める夫婦のアホっぷりもなかなかのもの。もう既に4人も子どもいるのにね…。

『悪い種子』を源流として子ども怖い系ホラーは数多く作られてますが、本作は『エスター』に多大なる影響を与えているのではないかと思います。大人のような知能と狡猾さを備えて目障りな障害を排除し、親の愛情を独占しようとするボニー。『エスター』と違い、彼女が独占しようとするのは母親なのですが、父親を誘惑するような素振りも微かにではありますが見せたり、必死にボニーの異常性を主張する父親の言葉を周りが誰も信じようとしないことから来る胸糞悪さを描く点でも似てるところが多いように思います。

実の子が次々と不審死を遂げていくのに両親はそれほど悲しんでいるように思えず、一番最初に犠牲となる一番下の赤ちゃんの時なんて、代わりにボニーがやって来てくれたからまぁいいや的な切り替えの早さに苦笑いしかなかった…。そういったドラマ部分の描きこみが甘々で、かなりチープな出来なのは残念。

それでも、『エスター』でも恐怖の根源となっていた「子どもが悪意をもって人を殺すわけがない」という大人が子どもに対して持っている無意識のフィルター、あるいは「子どもは純粋であり、それと反対のことを大人が主張することは道徳的に許されない」という周囲からの見えない圧力が主人公を追い詰めていくクライマックスのスリルは見応えがありました。

そして子への強い愛情が親の目を盲目にし、事件に対する冷静かつ客観的な判断を邪魔するのはある程度仕方ないことだと思いつつも、観客という視点でその様子をまざまざと見せつけられるもんだから、愛情の裏返しである狂気の異常さが際立って感じられた。子ども怖い系ホラーのはずが最終的には親の怖さまで感じさせ、むしろそちらの方に強い余韻を残すところに本作の面白さがあるように思った。

冒頭、鳥(多分カッコウ)が空を飛び田園風景を俯瞰で映し出し、そこで親子仲良く遊んでいる主人公たちへとフォーカスしていく映像はかなり良かったんだけど、それ以降はそれほど映像的に良い部分もなかったし、全体的に出来は良くないのでオススメできるような作品じゃないんだけど、子ども怖い系ホラーとしてはツボを押さえていて面白かったです。