ふかい

娼婦ケティのふかいのレビュー・感想・評価

娼婦ケティ(1976年製作の映画)
4.3
バーホーベンコンプリートチャレンジ第2弾。

なぜこのような傑作が埋もれているのか、理解に苦しむ作品。
「女王陛下の戦士」などでも印象的なバーホーベン特有の新人いじめや、普通の倫理観を持った作家なら誰も描かない現実社会の暗部(よくあの役で子役をキャスティングできたなと思う)が痛烈。

全体像は「プリティウーマン」「イヴの総て」などの系譜と同じ、貧困から成り上がる女性を描いた物語といえるが、ここでもバーホーベンが凄いのは周りに群がる正真正銘クズ野郎たちに劇中でしっかり制裁を加えており、いわゆる女性搾取的な構造を扱いながらも真っ当な批評的な視点が軸になっているため嫌な気持ちにならない。
(「ラストナイトインソーホー」はそこが足りていないと思う)

金持ちの懐に入るという超資本主義的な価値観に身を置きながら、終盤でヒロインが革命運動に同調し乗り込んでいくシーンは、これからもその葛藤した思いを抱えながら生きていく姿を暗示していてとても感動的である。
のちの大傑作「ショーガール」の序章ともいえるこの隠れたフェミニズム・ムービーがどうにかしてちゃんと世に放たれてほしい。(渋谷TSUTAYAは凄い)

印象に残ったショット:手で影絵をしていたらやおら横からdickが映り込んでくるところ、何かをヒロインが口に頬張って(画質が悪くて判別不能)ルドガーハウアーがそれを取り出し、2人の唇にクローズアップするところ→「危険な愛」より全然エロく撮れてるよ!
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