海老シュウマイ

銀色のシーズンの海老シュウマイのレビュー・感想・評価

銀色のシーズン(2007年製作の映画)
4.0
決してオススメはしないけど、この季節に見返したくなるやつ。

この、人生の雨宿り系のお話はどうやっても好きだし、全体のバランスも絶妙だったと思う。

瑛太たち3人はハチャメチャで「悪」なようで、実は当たり屋の時は一般客の迷惑になってる奴を選ぶとか、賭博は被害者のいない犯罪とか、かなり軽微な「悪いこと」にとどめられていて、
チャラいように見えて、スキー場で女性をナンパするようなこともなく、田中麗奈にはドギマギする。

そして、それぞれちゃんと自分のやりたいことを楽しんでる姿が好印象。
ちゃんと物語上としても観客にとっても「愛すべきバカ」というチューニングができてる。

そして何より、雪山に、白いコートの色白な田中麗奈というだけで最高だし、寒さで鼻の赤い田中麗奈の実在感がたまらない。

映像表現として、
転んでも転んでも立ち上がる、下ばかり見てないで目線は遠く、なんてわかりやすいベタ中のベタだけど、
「私も下ばかり見てないで未来を見るようにするわ!」なんてセリフで重ねて説明しないのも好き。

結局、瑛太と田中麗奈の関係やその後を説明しない終わり方や、最後までキスシーンがないとか、瑛太の大会の結果など、いい味付けだと思う。

世界の亀山モデル(笑)ってのもあるし、ひたすら説明役の佐藤江梨子など、当時としてもこれが「映画」のレベルにあったかは疑問だけども、

そんな半笑いで約15年が過ぎてみて、2022年の映画を考えてみると、この水準さえクリアできてない作品も多いんじゃないかと思ったり。

例えば、今なら瑛太に雪山で「死ぬなー!」って言わせたり、田中麗奈にはラストで「立てー!」って叫ばせたり、
しかもそれがエモポイントとさえ言われてしまうのではないかと思うと、結構、本作も捨てたもんじゃなかった気がしている2022冬。