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牛泥棒のkiritoのレビュー・感想・評価

牛泥棒(1943年製作の映画)
4.3
【ジャッジ〜裁かれる牛泥棒〜】

あのクリントイーストウッドが最も影響を受けた監督で、最も愛する作品らしい。

◆◆◆日本劇場未公開作品◆◆◆


75分という短さに、1分の無駄もない描写と物語。
映画はお金をかけなくても作れる。
そんなメッセージすら感じさせました。


↓あらすじ↓
ある日、牛が盗まれた。
牧場の主も殺されたという。

町の長老はこの事件に怒り自警団を組織する。
その時町にきていたカーターとクロフトもこれに同行する(主人公)。

そんな中、怪しい3人組が発見される
・ぼけた老人
・殺人の前科のある犯罪者
・50頭の殺された牧場主の焼印のある牛をもつ者

裁判をしたら時間がかかる。無罪になるかもしれない。
自警団達は多数決で彼らを処刑することに決めるのだが…


牛泥棒。
このタイトルがそもそもインパクトありますが、観終わった後この題名を改めて考えてると、確かに的確な気がしました。

人間は兎角、初見時の印象で人を判断してしまいがちです。
そしてある情報が入ればそこからその人物像を固定化させてしまいます。
悲しいかな、固定化させてしまったが最後、思い込みが先行し、固定概念(ステレオタイプ)が生じてしまう。

人間であるがゆえに誰しもが陥るこの現象は意識しても取りはらうことは難しいもの。

本作はまさにその点に一石を投じ我々に波紋を投げ掛けます。


そこに【人間の良心】があれば違ったのか?
最後に登場する手紙のメッセージは彼らだけではなく、視聴者側に投げかけているようにも感じられました。


こちらも最初と最後のシーンが同じです。
2人が町に入ってくるシーンと帰るシーン。
わざわざ犬を横切らせるという描写まであえて一緒にしたのは何故でしょうか?
外見には変化が無くてもこの2人は大きな経験を積み成長したのでしょう。


西部劇ですが、【12人の怒れる男】に通ずるものを感じます。
あーこういう作品すきだなぁ〜


※Yuki君のオススメで視聴。
まぎれもなく傑作の一つです。

2016.1.20
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