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牛泥棒のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

牛泥棒(1943年製作の映画)
3.5
ウィリアム・A・ウェルマン監督、ヘンリー・フォンダ主演の西部劇(の形式をとった冤罪ドラマ)。
原題:The Ox-Bow Incident (1943)

1885年、ネバダ州のある町にギル・カーター(ヘンリー・フォンダ)と相棒のアート・クロフト(ハリー・モーガン)という2人のカウボーイがやって来るが、町の牧場主が殺され牛が盗まれる事件が起きる。
保安官(ウィラード・ ロバートソン)が不在の中、長老アーサー・デイヴィス(ハリー・ダヴェンポート)は、町の人たちで民警団を募り、任命権のある保安官の帰りを待って犯人捜しに出ることを主張する。
ところが、犯人を縛り首にしようと意気込んで集まった連中に味方した保安官補が、保安官を代理して民警を任命。
~その連中~
被害者と仲のよかったファーンリー(マーク・ローレンス)、
テトリー少佐(フランク・コンロイ
ママ・グリア(ジェーン・ダーウェル)など…。
やむなく、長老、気の弱い少佐の息子ジェラルド(ウィリアム・アイス)、信仰の厚いスパークス(リー・ウィッパー)に、カーターとクロフトも加わり合計28名の民警団で犯人の捜索に出る。
やがて、オックス・バウ(牛のくびき)で野宿していた3人、妻子のいるドナルド・マーティン(ダナ・アンドリュース)、メキシコ人のフアン(アンソニー・クイン)、年老いたアルヴァ(フランシス・フォード)が、犯人として捕らえられる。
3人は無実を主張したが、少佐ら多数派は聞く耳を持たず、正式な裁判を経ずに自分たちの手で縛り首にしようとする。
やがて、民警団を仕切っていた少佐が多数決をとる。反対は7人だけで、反対派は多数派に押し切られてしまう…

~他の出演者~
・カーターの元恋人ローズ(メアリー・ベス・ヒューズ)
・テイラー判事(マット・ブリッグス)
・テイラー判事の家政婦(「オズの魔法使い」に"西の魔女"役で出てるマーガレット・ハミルトン)

「死刑など間違っているし、必ず、多くの人を傷つける。それはあらゆる法に背く行為だ。…法とは、正義や善意についての人間の叡知、人間の良心そのものだ。良心がなければ、文明など育たない。神に触れられるのは良心を通じてだけだ。我々から良心を奪ったら、何も残らない」

裁判なしの縛り首(リンチ)、冤罪、法による正義をテーマにした真面目なドラマになっている。
同じくヘンリー・フォンダが出演した「12人の怒れる男」などと比較してみるのもいいかも。
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