福福吉吉

裏切りのサーカスの福福吉吉のレビュー・感想・評価

裏切りのサーカス(2011年製作の映画)
4.0
東西冷戦下の時代、英国の諜報機関「サーカス」を辞めたジョージ・スマイリーはサーカス内のソ連の二重スパイ「もぐら」を捜す依頼を上層部より受ける。スマイリーは相棒のピーター・ギラムとともに情報収集し、「もぐら」の正体を追う。

登場人物が多く、ストーリーが複雑なため、理解することが難しかった。ストーリー展開としてサーカスの幹部とソ連のKGBの繋がりを追うもので、テンポは良いものの、登場人物の人間関係が複雑であり、かなりモヤモヤした流れが続くので、観ていてきつかったです。初見では分からない部分が多かったので、ネットでネタバレ情報収集後、再度鑑賞してなんとかなりました。
しかし、それが本作の見どころであり、細かな情報を繋いで真実を追う情報戦の静かながら緊迫感のある展開は、他のスパイ映画とは一線を画すオリジナリティに溢れていました。

スマイリー(ゲイリー・オールドマン)は冷静沈着で情報に対する理解力が大きく、些細な情報からでも不自然な点を見抜く姿がとてもカッコ良いキャラクターでした。サーカスの元幹部なのですが、大物感が他の幹部たちより強く、彼に比べれば他の幹部なんて足元にも及ばない感じでした。妻のアンにだけ弱いのも可愛らしさがあって良かった。

そして、スマイリーが「もぐら」捜索の相棒に選んだピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)は若いながらスマイリーに負けず、頭脳明晰で行動力のある人物でした。サーカス内部の情報を手に入れる役割を担っていて、他の人にバレないようにギラムが記録を盗むシーンは緊迫感があって良かった。

かなり重厚な作品で理解しにくい作品でありながら、スマイリーとピーターの活躍に心動かされるものがあり、最後まで観ていました。
とても面白い作品でした。

備忘録 登場人物
(1)ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)
サーカスの幹部だったが、ブダペストの事件を契機に退職する。
(2)コントロール(ジョン・ハート)
サーカスのトップだったが、ブダペストの事件で引責辞任する。
(3)ピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)
サーカスの諜報員でリッキー・ターの上司。スマイリーの手足となって動き、とても優秀。
(4)リッキー・ター(トム・ハーディ)
サーカスの工作員。ギラムの指示で動いていたが個人プレイに走り、失敗する。ソ連の工作員ボリスの妻のイリーナと恋に落ちる。
(5)ジム・プリドー(マーク・ストロング)
サーカスの工作員。ブダペストの事件でKGBに襲撃される。ヘイドンと特別な関係を持つ。
(6)パーシー・アレリン(トビー・ジョーンズ)
サーカスの幹部「ティンカー」。コントロール辞任後、サーカスのトップになる。
(7)トビー・エスタへイス(デヴィッド・デンシック)
サーカスの幹部「プアマン」。元々お尋ね者だったところをコントロールに拾われる。
(8)ロイ・ブランド(キーラン・ハインズ)
サーカスの幹部「ソルジャー」。特に何もない。本当にない。
(9)ビル・ヘイドン(コリン・ファース)
サーカスの幹部「テイラー」。コントロールやスマイリーの退職後、一番頼りになりそう。プリドーと特別な関係を持つ。
(10)カーラ
ソ連の諜報機関KGBのトップ。名前だけ何度も出てくる。
(11)イリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)
KGB工作員のボリスの妻。ターと恋に落ちる。

鑑賞日:2023年5月3日&2023年5月4日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
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