★ 僕は狂っていた、どうってことないサ。
いいですねえ。
こういうイカレた物語は大好物。
ジャンジャンバリバリ、赤字覚悟の出血大サービス!脳汁ズビズバ大放出ですよ。
もうね。オープニングからして濃厚。
ゴテゴテとしたモンタージュでグイグイと惹き込んできますからね。しかも、物語は足元が見えない“暗闇”の向こう側。着地点が予想できないのです。
しかも、スペインは歴史的に隠喩大国。
どこに何が仕込まれているのか…予断を許しません。だから、簡単に飲み込むことが出来ず、何度も何度も噛むことを強要されるのです。まるで顎を鍛えるトレーニングですね。
この感覚はペドロ・アルモドバル監督の作品に初めて触れた時と同じ。新しい道を模索していることが伝わってくるのです。もしかしたら、スペイン映画のポテンシャルは、既にハリウッドを凌駕しているのかもしれません。いやぁ。圧倒的な熱量です。
但し、俯瞰してみれば物語の構造は単純。
煌めくような装飾品がジャラジャラと取り付けられているだけなのです。でも、それが“味”なのですね。感嘆の溜息をついた瞬間に、ズブリと沼にハマりました。
そして、この数奇な運命に彩られた物語。
その根底には哀しみが流れており、父に向けた憧憬や、屈折した愛、そして子供たちに抱く感情。すべての想いが混然一体となって喜劇を構成しているのです。このセンスは見事な限り。なかなかクセになる筆致です。
しかも、邦題も素晴らしいですよね。
これぞまさしく気狂い。
あはん、エクスタシー!
まあ、そんなわけで。
コメディと呼ぶにはブラック。
ドラマと言うにはクレイジー。
人を選びまくる作品のために気軽にオススメ出来ませんが、猛烈な知的好奇心を抑えきれないのならば、本作はベスト。ブルンブルンと振り回されちゃってください。エクスタシー!