トムヤムクン

ある女の存在証明のトムヤムクンのレビュー・感想・評価

ある女の存在証明(1982年製作の映画)
4.0
この作品の主人公である映画監督のニコラは周囲の状況や人間をひたすら見ることに徹している印象。謎の女マーヴィに連れられてやってきた夜会で特にその印象が強められる。ニコラ自身の当惑を我々視聴者にもシンクロさせる強迫的なカメラワーク…五里霧中の中で田舎へと車を走らせるシーンに象徴されるように、周囲に見える世界はあまりに不可解であってどうにも反応しようがない。
恋物語を嘲笑したニコラが、SF映画を作ることを決心する。本物とウソとの区別が問題ではない世界=SF… どれだけ求めても本物には至りつかない愛の不毛さ?
アントニオーニらしさは感じたが、ラストのイーダのくだりがイヤにメロくてややダルかったのが惜しい。とはいえニコラの姉が産婦人科医だったりと、女、愛、妊娠という問題系はアントニオーニの中で何かしら意識されているのだろう。
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