初ヘルツォーク。ヘルツォークっぽくない?らしいが大傑作だと思った。
ロードムービー、社会映画、1人の男の内側を描いたドキュメンタリーという要素が上手く融合し、
その中でも、僕はドキュメンタリーとしての要素に心を打たれた。
ブルーノはアメリカという高度に進んだ資本主義体制に殺されたのかもしれない。ただ、それはきっかけであり直接的な原因に過ぎない。彼が今まで生きてきた経路は、前半のベルリン編で丁寧に描かれた現状をみれば想像に難くなく、そこから抜け出した時の充足感や期待感を味わってしまったことこそが
小津安二郎のように淡い色調に赤が映えているのが印象的であったが、観終わった後に反芻してみるとあれはブルーノが遺した生命力の印だったのではないかと思った。金貸をやっている不良2人組の車やジャケット、ブルール宅マンションの階段、エヴァの服など、、、
アメリカに渡ってからは一気に少なくなり過去からの脱出、新しい自分、全く違う土地という意味合いとも取れるけれど(そもそも意味はなく文化違いが写っているだけかもしれないけれど)、終わってみれば、言葉も通じない全く孤独のアメリカ比べれば、言葉も通じ、狭い空間ながら友達がいるドイツでの生活の方が彼にとっては生命力に満ちていた生活だったのかもしれない。