Carlo Lizzani の『 L'indifferenza (無関心)』はちょっと頭でっかちの印象。ベルトルッチの『 Agonia 』は耐えられずに途中で飛ばし、ゴダールの 『L'Amore 』も、悪くないが、セリフが多すぎてうんざり。
抜群におもしろいのはパゾリーニの『紙の花のシークエンス la sequenza del fiore di carta 』。これはもうニネット・ダヴォリのための一編としか言いようがない。ニネットの「生ある若者」(ragazzo di vita)としての魅力が、神の狡知を前にするときのドラマは、世界中で見られてきた悲劇を反復しながら、その後の悲劇の反復を予言してやまない。
今回の目的は、マルコ・ベッロッキオの『議論しよう、議論しよう(Discutiamo, discutiamo)』だったのだけど、なかなか面白い。実際のローマ大学の学生に、左派と右派のグループにわかれて、自分たちが日頃行なっている議論を反復的に演じてもらうという実験映画。
興味深いのは、ベロッキオ自身、教授の役で教壇に登場し、ベネデット・クローチェの引用を板書する教授を、わざとらしいつけ髭をした演技を披露してくれているところ。だいたい、みんな議論の途中で、自分たちのセリフ、相手の反応に、クスクスわらったりしてるし、冗談なのかと思えば、ときどき目が本気になっているし、なるほど、これは面白い実験映画、あるいはシネマ・ベリテのようなもの、というわけだ。